◇平成14年度看寿賞選考結果 短 編:原亜津夫 詰パラ9月 9手 中 編:角建逸『風鈴』 詰パラ11月 47手 長 編:田島秀男『夫婦馬』 詰棋めいと31号 423手 長 編:添川公司『明日香』 近代将棋12月 703手 特別賞:森田銀杏『トランプ詰』近代将棋7月 33手×4題 ※図面はこちらで。 看寿賞委員長:柳田明 選考委員:阿部健治、浦野真彦、近藤真一、橋本孝治、福村努、山田修司 【推薦意見】 短 編:原亜津夫 推薦意見: 近藤真一: 本作を高く評価しているのはこの手順を9手で表現した事です。看寿賞で 1桁台の作品が受賞したのは次の通りです。 昭和56年度 小泉潔 7手 昭和58年度 赤羽守 7手 平成元年度 行き詰まり 3手 奨励賞として、平成3年度 水上仁 9手 作品の発表数から言えば、1桁台が圧倒的に多いわけですが、看寿賞では それは反映されません。1桁台の作品は当然やれる事が2桁台の作品よりは 限定されてしまいます。本作はその意味では究極の手順を実現したと言えます。 また、本作は玉方の着手に好手があります。これは今までに受賞した 4作にもなかった点で大いに評価されます。 福村努: 初形から5八金の狙いは見てとれるが、中合した金を大駒の連続捨て 移動させての収束は華麗。 中 編:角建逸『風鈴』 推薦意見: 橋本孝治: 作者自ら「変拍子」の名を挙げているように、不規則性と規則性が混在 して、局面を展開していく手順は絶妙の味。文句無く一位に推す。 福村努: 移動範囲の狭い玉だが、手順に工夫が凝らしてある。 桂の二段中合も含めて、攻防ともに桂はこう使えという手本。 浦野真彦: 本作の良さは、完成度の高さ、解後感の良さ、密度の濃さです。 ジャマ駒消去、連続中合2回、と金の翻弄。 これらをせまい中で表現したことを高く評価します。 長 編:田島秀男『夫婦馬』 推薦意見: 山田修司: 二枚の馬が微妙に異なる軌道をたどって接近と離反を繰り返す。馬鋸の繰り 返し構想として、正に精妙巧緻の極。強い創意を感じさせる傑作。 橋本孝治: 添川作がなければ、この作品が一位になっても当然の傑作。普通に駒を 動かしているだけでは、このような構想は生まれまい。構想の卓抜さもさ ることながら、微妙な局面の差異で詰・不詰を分ける表現力も素晴らしい。 長 編:添川公司『明日香』 推薦意見: 柳田明: 私見では大作が多い添川作品でも上位に来ると思われます。 1筋での香合、金合による上下移動のシステム、二つの馬の動き (+と金の移動合)の組み合わせ、馬ノコ手順の伸ばし方、 そして80手を越える収束手順は流石と思わせる。 橋本孝治: 添川氏が久々に放つ超長編は、新機軸の傑作となった。最も画期的なの は、作者自身が「桃花源」で示した一手馬鋸を、別の形で実現したことで ある。変化は難解だが決して無理作りではなく、収束も充実している。い つもながら、この作者の作品を見ると「詰将棋の豊かさ」を実感できるが この作品は特に素晴らしい。 阿部健治: 上辺の馬のコントロールによる下段の馬と龍のパフォーマンスが実に華麗。 長さにふさわしい重量感がある。 特別賞:森田銀杏『トランプ詰』4題 推薦意見: 阿部健治: 特別賞については是非森田さんのトランプ詰を推薦したいと思います。 氏の年来の主張である「詰上り型の鮮明さ」をしっかりと表現していますし、 四つで一組の必然性もよいと思います(こういうアイディアも大切な要素)。 手順にも各局とも工夫があり、その上で手数も揃えたのは錦上華を添えるの 趣きありで、特別賞にふさわしいと思います。 山田修司: どの作も充実した手順で、詰上がりも美しく、組曲として最高の作品群。 【第1次投票・集計結果】 ☆印は第1次通過作。 「応援」は応援演説による追加作。 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+−−+ | |阿浦近橋福柳山| |一般| | 作 者 発表誌 手数 |部野藤本村田田|得点|推薦| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+−−+ |〔短編の部〕(17手以内) | | | | |原亜津夫作(パラ9月、9手)|○△◎◎○○ |13点|5票|☆ |中村雅哉作(パラ5月、17手)|◎ △○ △○|9点|5票|☆ |市島啓樹作(パラ6月、15手)|△△ △△◎ |7点|4票|☆ |該当無し | ○○ |4点| | |金子義隆作(近将4月、15手)| ◎|3点|推薦|応援 |きしはじめ作(パラ4月11手)| ◎ |3点|2票| |近藤 郷作(パラ6月、15手)| △ |1点|推薦| |将世初二三段コース (13手)| △ |1点|1票| |藤沢英紀作(将世1月、15手)| △|1点|推薦| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+−−+ |〔中編の部〕(19手〜49手) | | | | |角 建逸作(パラ11月、47手)| ◎ ◎◎○◎|14点|5票|☆ |中村雅哉作(パラ3月、49手)| ○ ○○△△|8点|1票|☆ |該当無し | ◎ ◎ |6点| |☆ |山田修司作(パラ8月、19手)|◎ |3点|推薦|応援 |河原林隆彦作(パラ9月31手)|△ ○ |3点|5票| |近藤真一作(パラ9月、21手)|○△ |3点|1票| |岡村孝雄作(パラ10月、27手)| ○|2点|1票| |酒井博久作(パラ1月、29手)| △ |1点|3票| |岡村孝雄作(パラ11月、45手)| △ |1点|1票| |橋本 哲作(めいと30号39手)| △ |1点|推薦| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+−−+ |〔長編の部〕(51手以上) | | | | |添川公司作「明日香」 703手|◎◎◎◎ ◎○|17点|3票|☆ |田島秀男作「夫婦馬」 423手|○ ○ ○◎|9点|推薦|☆ |谷川浩司作(パラ5月、89手)|△ ○ ○ △|6点|5票| |谷川浩司作(パラ8月、71手)| ◎△ |4点|6票| |糟谷祐介作「天人五衰」 291手| △△△ |3点|4票| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+−−+ |〔特別賞の部〕 | | | | |森田銀杏作「トランプ詰」 |◎ ◎ ◎◎|12点|2票|☆ |河原林隆彦作(パラ9月31手)| ○○○|6点| |☆ |(中編の部でも3点獲得) | | |5票| |該当無し | ◎○ |5点| |☆ |小川悦勇作(パラ3月、75手)| ◎ |3点|1票| |岡村孝雄作(パラ11月、45手)| ◎ |3点| |応援 |(中編の部でも1点獲得) | | |1票| |谷川浩司作(長編2作併せて)|○ |2点| | |(長編でも6点と4点獲得) | | |5・6 | |山田康平作(パラ1月、89手)| △ |1点|1票| |河内 勲作(めいと31号65手)| △ |1点|推薦| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+−−+ 【第2次投票・集計結果】 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+ | |阿浦近橋福柳山| | | 作 者 発表誌 手数 |部野藤本村田田|得票| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+ |〔短編の部〕(17手以内) | | | |原亜津夫作(パラ9月、9手)| ◎◎◎◎◎ |5票|受賞 |中村雅哉作(パラ5月、17手)|◎ |1票| |市島啓樹作(パラ6月、15手)| ◎ |1票| |金子義隆作(近将4月、15手)| ◎|1票| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+ |〔中編の部〕(19手〜49手) | | | |角 建逸作(パラ11月、47手)| ◎ ◎◎◎ |4票|受賞 |山田修司作(パラ8月、19手)|◎ |1票| |該当無し | ◎ |1票| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+ |〔長編の部〕(51手以上) | | | |添川公司作「明日香」 703手|◎◎◎◎◎◎ |6票|受賞 |田島秀男作「夫婦馬」 423手|◎ ◎◎ ◎|4票|受賞 +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+ |〔特別賞の部〕 | | | |森田銀杏作「トランプ詰」 |◎ ◎ ◎◎◎|5票|受賞 |岡村孝雄作(パラ11月、45手)| ◎ |1票| |該当無し | ◎ |1票| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+−−+ |