No123 原亜津夫 9手 詰パラ2002年9月


 本作は1桁の作品としては3作目の短編受賞であった。わずか9手の中で、
強烈な印象を残す作品である。作者は中編(No105)に続く、2度目の受賞であ
った。元々のフィールドは短編で1桁モノを得意としている。

【解図】
 初形は56、58への逃走が見えている。いろいろ考えて94角としてみる。と言
うのも、これを同龍と取れば、5筋の龍の利きが無くなり、87飛成、68玉、
57馬、59玉、58金、49玉、48馬、まで駒余りで詰むからだ。取れないのなら、
当然、85での中合が手筋だ。さて、85の合は何が最善か?



何と金であった。作意を進めていくと、金が必然なのははっきりする。しかし、
意表を突かれる合駒だ。次が強烈な決め手!!



それは
58に金を打つ手だ。入玉を目指す玉に金を渡して誘い込むのだから、
意外性十分な着手だ。同玉なら85馬で角と馬が連結するわけである。56玉も
57金だから、金を取らずに77玉とする。



ここに至れば手は限られている。追いすがるように76馬だ。



玉方は同金。さらに86龍。金中合の意味はこの局面で解ろう。



同金、67金で詰みとなる。
     詰上がり


詰手順;94角、85金、58金、77玉、76馬、同金、86飛成、同金、67金まで9手

【作者:受賞のコメント】
 攻方駒の反対側からの金捨てが出発点で、それを角〜馬の連結の手筋で絡め
たら自動的に作意手順は決まったのですが、実際に作図するとなると大変で、
結局、無理作りの典型のような、手数の割に駒数の多い配置になってしまいま
した。

      【解説:近藤真一】

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