No119 高橋和 15手 詰パラ2001年5月


 女性として初めての看寿賞受賞であった。大きな話題となり、各マスコミで
も取り上げられた。

【解図】
本作は初手に重点がかかった作品である。初見の方は考えてみて頂きたい。
35角は24合でさっぱりである。25桂も同金でダメである。


答えは
24銀である。(図面A)
      図面A


同玉とされると入玉を助長するだけのように見える。(図面B)
      図面B


ところが、46角とすると……。(図面C)
      図面C


応手を順に調べてみる。
35桂は16桂で同金、25銀、15玉、16銀、26玉、25角成、17玉、28金まで
16桂と右側に打つのが急所。ここで26が金である事の意味がわかる。
35銀は16桂、15玉、24銀、同歩、同飛成、同銀、同角まで
24銀に同玉はなく、変化になるが、うまい変化手順であった。

24銀、同歩、(図面D)
      図面D


ここからは手が限られているので、難しくはない。
まず、23飛成、同銀なら31角である。同玉が正解。(図面E)
      図面E


22飛は実は邪魔駒だったのである。35桂とすれば12玉である。(図面F)
      図面F


ここで13銀が目に写るが、その前に工作が必要となる。
34角成、同歩、(図面G) 33歩を上げておこう。
      図面G


ここまでくれば後は流れである。
13銀、11玉、23桂不成、同銀、33角、21玉、22角成まで15手(詰上がり)
      詰上がり


最後は気持ちよく清涼詰となる。

手順再掲;24銀、同歩、23飛成、同玉、35桂、12玉、34角成、同歩、
13銀、11玉、23桂不成、同銀、33角、21玉、22角成、まで15手


【作者:受賞のコメント】
 それはあまりに予期せぬ嬉しい出来事だった。受賞の知らせを電話で聞いた
私は、「本当に私のものでいいのでしょうか?」と聞き返し、思わず飲んでいた
お茶をこぼしてしてしまった。
 優れた作品が数多くあるにもかかわらす、その中から私のものが選ばれたの
は、少なからず私が女流棋士だからではないかと思う。そういう意味では皆さ
んに申し訳ない気持ちもあるが、今は素直に受賞を喜びたい。
 この作品は水上編集長との5年越しの約束を果たすために作ったものである
が、小学生のときから憧れていた詰パラの表紙に載せていただいたというだけ
で私には感慨深いものがあった。もしあの約束がなければと思うと、改めて水
上さんには御礼を申し上げなければならないと思う。
 最後に、この賞は私に詰将棋の本を買い与え、ストップウオッチ片手に鍛え
てくれた父、豪一に捧げたいと思う。


      【解説:近藤真一】

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